なんか書いてみたり ひびまこ

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ひびまこ

07-26,2010

少し前に公開した「ひびまこ(※R-18、色々と注意)」をちょっと手直しして、というかR-18になる部分を変更してR-18じゃなくしてみました。

こんな感じでいかがですかー?(私信

戦闘部分はありますので、苦手な方はご容赦を<(_ _)>





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「あれ? 対戦者、求むって」
 普段なら何人もの人間が訓練に集中し、静かなのにどこかざわついた雰囲気のあるシミュレーション室なのに、今日に限っては誰もいない様子だった。
 長時間の使用は禁止されているので、たまたまそういうタイミングで来てしまったのかもしれないと考えながら菊地真は、そのためにすんなりとアイドルマスターの擬似コックピットに乗り込んだ。
 そして起動させた途端、そんなメッセージがスクリーンに表示されたのだった。
「ゲームセンターと勘違いしてるのかな? あまりこういうのって好きじゃないけど」
 しかし、真はなぜか今日はそれに乗ってみたい気持ちになっている自分に気づき、手元のコンソールで短く「YES」と打ち込んだ。
 向こうから返ってきた言葉は、『がっかりさせないでくれよ?』となんとも挑発的なもので、
「そちらこそ」
 真はそうひとりごちるとともに、同じ言葉を打ち込んだ。
 自分が乗るアイドルマスターのデータが入ったメモリースティックを機械に読み込ませ、3D化されたステージへと降り立つ。
 機体の状態を確認するための小さなモニターに自分が乗る黒い機体――カスタマイズされた<ダンスマスター>が映し出されたのを一瞥し、メインのモニターに映し出されたそこの周囲の様子を伺ってみた。
 連続して鳴る銃声に気づき、真は音のしたほうに向いてみると、
「なんだ、あれ?」
 真の目に飛び込んできたのは、見たこともない機体が手に持ったサブマシンガンで、倒れたアイドルマスターに止めを刺したところだった。
 シミュレーション用のコンピュータが操るアイドルマスターとはいえ何もそこまですることはないのにと思ったが、ここまでやるぞという意思表示のようにも思え、真は真剣勝負のときのような心持ちへと切り替えていく。
 向こうが真の存在に気づいたのか、こちらに体を向けてきた。
 既存のどのアイドルマスターにも属さないフォームは緑みを帯びた青色も鮮やかに、立ち姿は頭からポニーテールのように張り出した部位からサムライを彷彿とさせる。
『ダンスマスター?』
 向こうからの短いメッセージ。
 コンソールに手を置いたものの、真はなんと答えればいいのかわからずにいると、向こうの機体は手に持っていたサブマシンガンを地面へと放り捨てた。
『ガナッハ』
 またも短いメッセージがくる。
 今度のは自分のアイドルマスターの名称を送ってきたのだろうか、真は相手の意図が読めずに困惑していた。
 相手が徒手空拳の構えを見せてくるのを真は挑発と受け取り、自分も構えを取る。
 左手を軽く突き出し、右手を腰のあたりに。
 両の拳は軽く握り込ませる。
 彼女が少しずつ間合いを詰めていくと、向こうも同じように詰めてきた。
 拳を出すには長い、この間合いならば――真は裂帛の気合とともに「ハッ」と鋭く息を吐き出し、腰だめに構えさせていた右の拳を突き出す。
 すると、何も武器を持っていないそこからはこぶし大の淡い光の弾が発せられ、目の前の機体――ガナッハへ向かって飛んでいった。
 慌てた様子でそれを避けるのを真は好機と見て一気に突っ込んでいく。
 光の弾はそのまま飛んで地面に当たるとともに爆風を巻き上げた。
 しかし、相手はそれに気を取られるようなそぶりを見せず真へと対峙してくる。
 そのことに真はうれしくなってきた。
 ガナッハの顔面を狙って正拳を突き出す。
 真は自分の拳を受けて相手の顔がひしゃげる予想図を眼前に捉えていた。
 だが、次の瞬間、その絵は掻き消え、代わりに見えたのはステージの天井となる空の色だった。
 投げられたのか。
 一瞬だけ何が起きたのか理解できずに呆然としたが、すぐに気持ちを立て直し、受け身を取ってさらに転がって間合いを取り直す。
 思ったよりも強い投げだったのか、受け身でダメージを抑えたにも関わらず自分の機体のいくつかで異常が出たことをモニターが示していた。
「えっ」
 モニターにほんの一瞬だけ気を取られていたら、ガナッハの姿が目の前から消えていた。
 どこに行ったのかと真が探そうとする前に、強い衝撃がきて大きく体を揺さぶられる。
 両腕にダメージを負ったようだが、本能的にガードしていなかったら壊れていたのはメインモニターを司る頭部だっただろう。
「くそっ」
 姿を捉えるより前にガナッハが素早く動いて追いつけない、そんな状態に真は歯噛みした。
 幾度かの攻撃はあったが、致命的なものは避けきると、真は一瞬で切り替えて構えを直し、相手の出方をうかがう。
 不思議なことに動き回るガナッハのほうから手を出してこない。真は向こうも同じようにこちらの様子や出方を見ているのだろうと思い込むことにし、次の作戦を考える。
 彼女は最初と同じように拳から光の弾を打ち出す。
 避けてこちらに近づいてくるのは真の想定の範囲内だった。
 すぐさま次の光の弾を打ち込むとガナッハはそれを予想していなかったのだろう、まるでよろけるように辛うじて避けてみせたので、真はここぞとばかりにそのわずかに傾いた機体に向かってレスリングのような低いタックルをしかけた。
 胴を捕まえ、地面へと押し倒す。
 そのまま馬乗りになってしまえば、機体の性能なんて関係なくなってしまうはず。その狙いは当たったようで、相手はもがくように動くものの体を跳ね除けるような力はない。
 先程のタックルの負荷が致命傷と判断されたのか擬似シート中に派手なアラーム音が鳴り、シミュレーションを止めるカウントダウンに入ったことに気づいた真はそこに即席でプログラミングのコードを入力して、強引にそのカウントを取り止めさせた。
「さーて、ここからはボクの時間だ」
 暗い声でひとりごとをつぶやき、メインモニターに映るガナッハの顔に向かって舌なめずりをする真。
 拳を振り下ろしていく。
 相手も避けたりガードをしたりしてダメージを受けないようにしているが、そんなことはお構いなしに殴りつけていく。
 グシャグシャに潰れていく頭部を見て、真は笑った。
 破壊するということの快感に全身を震わせる。
『これ以上はやめろ』
 不意に表示されたメッセージを鼻で笑い、メッセージを返す。
「降参?」
『違う』
「じゃあ、止めない」
 ガナッハが急にガードをするのをやめた。
『そちらのせいだからな』
「どういう意味?」
 その答えは返ってこなかった。
 代わりに真に襲いかかってきたのは激しい震動だった。
 真には原因がすぐにわかった。目の前にいるガナッハが無茶苦茶に暴れだしたせいだった。
 ガナッハがモニターから消えた。
 シートから放り出されるんじゃないかという衝撃が襲いかかってきた。
 あまりのショックに気を失ってしまう。

 戦場で気絶するのは死を意味すること、真が一番恐れることだ。
 今回はなぜか助かったようだが、機体の状態は全身稼働不可能を示す赤色に染まっている。
 次に見た光景はとても信じることのできない、浅葱色した硬質の――犬や狼を思わせる――獣が黒色の腕を喰いちぎるところだった。
 まるで自分の腕が引きちぎられたような痛みを覚え、真は悲鳴を上げる。
 獣はゆっくりと近づいてきている。
 狙っている場所は、真のいるコックピットに思えた。
 実際その通りにまっすぐ近づいてくる。
 なんとか体を動かそうと操作しようとするが、アラームが鳴るばかりで反応してくれなかった。
「やめろ」
 絶望感のなかでそれだけしか言えなかった。
 語気を強めながら何度も言う。
 最後は叫ぶように。
 しかし獣は無常にもその口を大きく開け――

 次の瞬間に真が見たのは、『ERROR』(エラー)という大きな赤文字とシステムダウンにより強制終了したことを表すメッセージだった。
「え?」
 生きているのか?という疑問が浮かぶ。
 ここがシミュレーション用の擬似コクピットであるという事実を思い出す。
 生きているという現実に全身で安堵した。
 弛緩していく体はまださっきまで味わった恐怖に小刻みに震えていた。
 真はシートを倒して、大きく息をつく。
 じわりとにじんだ涙を手の甲で大きく拭ったが、あとからあとから溢れてきた。
 シミュレーション程度で泣きたくないという意地が堪えさせようとするけどもやはり我慢するのは真には難しかった。
 今にも泣き出してしまいそうになった時、不意に外気が擬似コクピット内に入り込んできた。
「えっ!?」
 外とつながっているドアは先程鍵をかけたはずと思っていただけに真はそのことにうろたえてしまう。
「女の子? じゃあ、都合がいいな」
 そう言った声の主も真と同じくらいの女の子のようだった。
 薄暗いコクピットの中でもわかるのは小柄だが女性らしい体とガナッハの頭にあったのと同じようなポニーテール、そして大きいのに動物みたいな鋭さを持った意志の強そうな瞳。
「なに? だれ?」
「ガナッハの我那覇響。お前は?」
「ダンスマスターに乗ってた、菊地真、だよ」
「真、か」
 ドアが閉まり、響の操作にロックがまたかけられたのが真にはわかった。
「泣いてるのか?」
「え?」
 響が体に乗ってくるのを真は突き飛ばそうとしたが、その手はつかまれ、シートに押しつけられた。
 次は殴られではと思い身を固くして目を閉じる。
 だが、与えられたのはそんな強い衝撃ではなく、柔らかい感触だった。
「キス?」
「そうだぞ。もっと気持ちいいのをしてやるから、歯を食いしばらずに少し開けるんだ」
 真はどうしようかと悩みかけたが、今は体が気持ちのいいことを欲しがっていることを思い出し、言われた通りにする。
 今度は響の顔が迫ってくるのを見つめながらそれを受け入れる。
「んっ」
 何度か優しい口づけだけだったが、真は口の中に自分のとは違う柔らかく濡れた響の舌が入ってくるのを感じた。
 今の興奮状態で激しいその動きは刺激的過ぎて目がくらみそうになる。
 どうとでもなれと響に身を任せていた真だが、激しくもまるでなだめるようなキスに体の芯まで蕩け始めているのが自分でもわかった。
 響の瞳がやさしげに微笑んでこちらを見つめている。
 先程までの恐怖や興奮がそれだけのことで嘘のように凪いでいき、しかし触れられているところ熱さに別の興奮が呼び起こされる。
「こんなもんでいいかな、真」
「もっと」
 小さくおねだりをしてしまってから急に恥ずかしくなったが、響の顔が迫ってくるのを見て、真は目を閉じた。

 荒れた呼吸が落ち着いてきた頃になって真は響とまともに会話することができるようになった。
 そんな会話の中で気になっていたことを聞くことができた。
「響、シミュレーションのあれはなんだったの? ガナッハの形が違ってたのって」
「あれは、シミュレーションだけでできる変形モードだ。試作段階ではあったんだけど、現実のガナッハにはついていない機能だぞ」
「うわ、なにそれ」
「しかたないだろ。そうでもしないと、真、止めなかっただろうし。その前にコンピュータが終了させようとしてるのを邪魔するし」
「だって、あれは」
「言い訳するな。こっちはショックだけで死ぬかと思ったんだからな!」
「こっちだって、同じ目に遭わされたよ」
 シート上で脱力していると真の首のあたりにまるで動物が懐くのと同じように頭をすりつけてきた。
 響の髪が触れてきてくすぐったく思っていると、不意打ちのように彼女の唇が真の唇を奪っていった。
「こら」
「へへへー」
「んっ」
「この後、何か予定あるか、真ぉ」
「ない、よ。ん、だから、やめっ」
「どこか近くで邪魔されないところで、ベッドのあるところに行くかっ」
「う、うん。いくから、もう、ほ本当にや、めて」

-END-

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