なんか書いてみたり はるちは

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はるちは

10-11,2009

例によって、百合表現にご注意ですよー

もっと短い時間でできるようにがんばったんですが、ダメでした…


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「あちゃー、今回は失敗かー」
 目の前にある焼き上がったケーキを味見して春香は頭を抱えた。
 新しいレシピに挑戦してみたが材料として入れた洋酒の量が多すぎたのが原因なのは味わってみてわかったことだった。
「プロデューサーとか小鳥さんみたいな大人の人なら大丈夫そうかなぁ。お酒自体は甘くておいしかったのに」
「あら、春香、さっきからいい匂いがすると思ったら、やっぱりケーキだったのね」
「あー、これはねー、ダメなんだよ。ちょっと失敗しちゃって」
「そうなの?」
 千早は興味深げに味見用に切り取ったケーキの一片が刺さったフォークをつまみあげてそれを口に運んでしまった。
「あ」
 春香が驚いている間に千早は咀嚼してあっさり飲み込んでしまう。
「あら、おいしいじゃない」
「ほんとに!?」
「ええ、本当よ。ヒック」
 最後のしゃっくりのような音を聞いて春香は慌てて残りのケーキを片付けようとしたが、その肩がすごい力でつかまれて引き止められてしまった。
「ねぇ、春香。それだけあるんだから、まだ食べても大丈夫よね? 何も全部食べるとは言ってないわ、せめて1人前を食べさせてほしいの」
 振り返って見た千早の顔は少し赤らんでるように見え、春香は何度も首を横に振った。
 失敗作だからとかなんだと言い訳しようとするのだが、千早は春香のアゴに手を添えて、黙って顔を近づけくるのみで聞いている様子がない。
「春香、ちょうだい」
「す、少しだけだよ! お酒が残っちゃってるからね!」
 少しだけという言葉に口を尖らせて不満の表情を作る千早に春香はどきまぎしながら1人前と思われる量の半分をケーキから切り取り、持ってきた紙皿に乗せて彼女に差し出した。
 千早は大好きなおやつでも与えられた子供のように無邪気な笑顔でそれを受け取り、持っていたフォークで突き刺したかと思うとそのまま口を大きく開けて放り込むかのように入れてしまった。
 その様を春香は呆然と見つめながら、歌の得意な人は大きく口が開くものなんだと関係ない方向で感心してしまう。
千早は唇の端を少しだけ出した舌で舐め回し、春香に向かって紙皿を差し出してきた。
「もうダメだよ! さっきので最後だよ、千早ちゃん!」
「えー」
 これも普段の彼女とは思えない、両頬をふくらませて上目遣いでこちらを見つめてくる千早に春香は一瞬胸が高鳴るが、
「ヒック」
 その音で我に返って首を横に激しく振った。
「いやいやいやいやいや。ダメだよ? どう考えてもダメだよねぇ!?」
「どうせ失敗作なんでしょ? 私が全部食べてあげるわよ」
 潤んだ瞳の上目遣いで見つめてくることに心揺れつつもケーキを体で千早から隠そうと試みる。
「どうしてよー、いいじゃない、春香のケチー」
「千早ちゃん、話し方がおかしくなってますよー? とにかくこれはおやつの時間にまた出すからねっ、それでいいでしょ」
 まだふくれっ面の千早に、ねっ、っと念押しをしてうなずかせると、ケーキをラップで包んで冷蔵庫に放り込んだ。
指をくわえて恨めしげに冷蔵庫を見る千早の背中を押し、春香はなんとかケーキから彼女を遠ざけることに成功した。

 成功したはずだった、としか言いようがない。
 春香の目の前には冷蔵庫の前で体を丸くして眠ってしまってる千早の姿があった。
 すぐ近くにケーキを包んでいたラップがあることから全部食べてしまったことで満足して眠ってしまったのだろう。そんなことが容易に推測できた。
 こんなことだったら最初から全部食べさせてしまえばよかったかもと苦笑しながら春香は千早を起こすために近づく。
「千早ちゃーん、帰る時間だよ、そろそろ起きて」
 と声をかけたところでうっすら微笑む千早と目が合った。
「はるかー♪」
 そんな猫なで声を発しながら春香の首に絡みつくように抱きついてきて自分の体のほうに引き寄せる千早。抵抗をする暇もなく額と額がくっつくほどに顔が近づいてどぎまぎする春香。
 酒に酔った蕩けた顔で微笑む千早の表情には普段は感じさせない雰囲気の愛らしさがあり、離してと言えないままその顔に見惚れてしまう。
「もっと食べたい」
「ええ!? さすがにそれは無理だよぉ」
 春香は離れようとするものの首の後ろに回された腕の力は強く、少し離れることすらままならない。
「ちーちゃんはケーキをもっと食べたいのー」
「わ、わかったよ! 明日同じもの持ってくるから、それで許してよぉ」
「今すぐ食べたいのぉ」
「今すぐ!? そりゃ材料は部屋に帰ればあるだろうけど」
 そこまで言って、しまったと思った。
 千早はこれ以上ないくらい大きな笑顔になり、
「じゃあ、春香の部屋に行く! 今から行く!」
 家に帰らないといけないでしょうと言っても聞き分けてくれそうにない様子の千早に春香はため息をつくしかない。
「わ、わかったよ、千早ちゃん! 私の部屋でケーキをご馳走するから、ひとまず起きよっか」
「うんっ! 春香、だーいすきっ」
 唇に小さく音が鳴るほどの感触に驚き、少し香ったケーキに使った洋酒の匂いで何をされたのか理解した。
 動揺のあまりに声が出ない春香を抱きついてきた本人が起こしてくれ、そのまま春香の部屋に帰ろうと引っ張ってくれたりする。
 少しずつ冷静になってくるとその無邪気な千早の様子が微笑ましい。
 まるでさっきの洋酒の香りだけで酔ってしまったかのように春香も千早と一緒になって笑い出す。
 もっと洋酒を足したらどうなるかな、そんな想像をしたらなんだか楽しくなってくる。それを一緒に食べるのだ、想像をしていくとどんどんと楽しくなっていくのを覚える。
「食べるぞー」
 春香のそのかけ声に千早はおーっと片手を上げた。

-END-

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