なんか書いてみたり アイマス1時間SS参加作品「メリークリスマス」

スポンサーサイト

-----,--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

アイマス1時間SS参加作品「メリークリスマス」

12-25,2011

60hss_ba_l.png

アイマス1時間SS参加作品になります。
使用したテーマは「アイドル」「クリスマス」「最終」。




***********************************

 最終電車に揺られて私は家へと向かう。
 がたんごとん、あの人が好きそうなリリックを刻みながら私は少しだけほほ笑んだ。
 つまさきで音は鳴らさないよう気をつけつつ、小さくリズムを取る。
 世界には音が溢れているのだ。
 あの人と共に暮らすようになって、それがなんとなくわかるようになってきた。
 
 萩原雪歩、高校生でアイドルを仕事にしている。
 最近、実家を出て、事務所から数駅ほど離れた場所で暮らし始めた。
 一人暮らしは反対されることがわかっていたから、同じアイドルの如月千早と同居するという条件でなんとか許可を得ることができたのだった。同じマンションには他のアイドルや事務所の人間もいて、それも後押しをしてくれたのだ。
 最寄り駅から出ると、すぐ目の前には今の住まい。
 ちょうど「今、どこ?」という簡素なメールが千早から来たので、
「もうマンションの前だよ。コンビニで買い物して帰るね」
 そうつぶやきながら携帯電話に打ちこむ。
 少し考え、
「何かいるものあるかな?」
 それを付け足してから送信した。
 コンビニエンスストアへ向かおうとした足を出した途端、メールの着信音が鳴る。まさかと思い確認してみると、「今から行く」と短く。
「コンビニで待ってるね」
 こちらも短く返し、携帯電話をカバンに仕舞う。
 歩き出しながら、外気に冷えた手に、はぁと白い息をあてた。短い時間でも冷えてしまうほどに今日は寒い。それほどの寒波が昨日からきているらしいのだ。
 不意に吹きつける風。
 それに飛ばされる枯れ葉が乾いた音をたてて転がる。
 独特のタイミングで鳴るそれがリリックに聞こえた。
 耳を澄ましてしまい、足が止まる。
「雪歩」
 いきなりかけられた声に驚き、雪歩はとっさにそちらへと顔を向けた。
 少し荒い息が白く染まって立ち上っていく。
「コンビニじゃなかったの?」
「あ」
 音を聞くのに夢中になって、思ったよりも時間がたってしまったのだろうか。
 そこまで考えて、まだ収まらない彼女の荒げた息と上下する肩に気がつく。
「千早ちゃんが早すぎたんだよ」
「あ」
 彼女がまばたきを数回した後、雪歩はなんだかおかしくなってくすりと声をもらした。気恥ずかしそうな表情をしながら、つられるように千早も笑いだす。
「いっしょに行きましょう」
「何か買うものあるの?」
 返事はすぐになかった。
 雪歩は千早の横顔をみつめながら、それを待ってみる。
「顔を早く見たくて」
 風にかき消されそうなくらい小さな声なのに、それはどの音よりもしっかりと耳に飛びこんできた。
「そっか。うれしいな」
 さらにそれを証明したくて自分から千早と腕を組み、体を寄せる。
 雪歩は人の体温を感じた以上の、灯るような熱を外からも内からも感じ、その心地よさにうっとりとする。
「それと遅くなったけど」
 千早の唇が動く。
「お誕生日おめでとう、雪歩」
「ありがとう、千早ちゃん」
 彼女から聞くそれがなにより心に震わせる。

 メリークリスマス。

 ふたり同時に言ったら、グラスとグラスを合わせた澄んだ音のような心地よい余韻が残った。雪歩と同じ気持ちだったのだろう千早も笑顔でうなずく。
 しばらくそれを楽しんでいたかったのに、冷たい風が邪魔をしてくる。
「行きましょ」
「行こっか」
 また同じタイミングなのがおかしくて笑いながら歩き出した。
 靴音も同じリズム。
 心臓の鼓動もきっと。
 想いも。

-END-

***********************************
スポンサーサイト

COMMENT

COMMENT FORM

  • URL:
  • comment:
  • password:
  • secret:
  • 管理者にだけ表示を許可する

TRACK BACK

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。